第57回クラシカルコンクール本選感想

第57回クラシカルコンクール本選について、700〜800字で日本ギタリスト協会から依頼されましたので書いてみました。

私だけでなく、審査員全員の感想が会報で公開されるそうです。色々な視点からそれぞれの審査員がどう感じたかが分かるので勉強になるのではないでしょうか。

私自身、他の審査員の方々がどのように感じたかを知る良い機会になるので、後日の公開が楽しみです。

以下、

『第57回クラシカルコンクール本選についてのちょっとした感想』(志田英利子)
最初に演奏したのは深澤太一さん。予選では最も遅いテンポで演奏するなど、独自の世界観で挑戦してくる。音量は十分にあるのだが、勢いで弾いてしまうせいかミスが多く雑な印象になってしまったのは残念。左手の移動は感覚ではなく、しっかりフレットを捉えると良いと思う。
そして、2番目に演奏したのは田中晴彦さん。冒頭から活きが良く、音楽の山を作るのが上手い。スパッと入ってくる美音はとても魅力的。トレモロ部分のメロディーと伴奏のバランスは改善が必要。
前半最後、3番目の演奏は岡本和也さん。ずばり、カッコイイ演奏。気前が良いと言うのか男らしいと言うのか、グイグイとリードして行く。細部への配慮もあり、演奏者全員の中で一番ミスも少なかった。固めの音が多いので、柔らかく丸い音色をもっと取り入れると更に表現の幅が広がるのではないかと思う。
休憩を挟んで、4番目の演奏は吉田松太郎さん。フレーズの最終音1つだけ音色を変えるなど(工夫しているとも言えるが)音楽が作為的になると流れが不自然に感じられてしまう。プログラムは3曲バラバラに並べるのではなく、まとまりを考えた方がよかったのではないかと感じた。温かみのある持ち音は魅力的で、指もよく動くので、今後大いに期待したい演奏者。
そして5番目の演奏は河合香紅さん。耳の良さと音色の豊かさに驚く。アゴーギクもディナーミクもとても上手い。表現力、歌ごごろも十分にある。盛り上がりでの目立つミスは残念。ミスをしてもすぐリカバリーするのもテクニックのひとつ。
最後、6番目に演奏したのは田嶋恵さん。パワフルで太っ腹で明るい演奏。聴いていて気分が良い。ブローウェルではフォルテのスイッチで音楽が直線的(猪突猛進?)になってしまったが、いつもでも歌を忘れないよう注意も必要。
今年も素晴らしい演奏を満喫して幸せな時間を過ごせた。昨年よりもレベルが高かったように思う。
来年の5月3日も楽しみだ。

以上